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「アーセン・ヴェンゲル20周年: 喜びとフラストレーションに満ちた旅」

ヴェンゲル

アーセン・ヴェンゲル20周年の記事です。

今回はエアブログではありません。

是非ご一読を。

 
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先日、就任20年目を迎えたアーセン・ヴェンゲル。

そんな酸いも甘いも知り尽くした我らがボスの、「ヴェンゲル20周年:喜びとフラストレーションに満ちた旅」という記事がガーディアンに掲載されていたのですが、Twitterから常に新鮮でそしてエモーショナルなアーセナル記事をご紹介してくださる、mygunnerさんがツイートしてくださっていました。これがあまりにも素晴らしかったので、皆さんにもどうしても読んでいただきたいと思い、mygunnerさんの許可をいただきここに掲載させていただきます。

mygunnerさん
https://twitter.com/mygunner98

 

ヴェンゲル20周年:喜びとフラストレーションに満ちた旅
( guardian )

 

96年、アーセナルへの監督就任、そのチャンスの大きさをわかっていたものは、ヴェンゲル自身含め誰もいなかった。彼は名古屋の自宅でじっくり考えていた。日本での経験は実に魅力的なものだった。文化も習慣も異なる世界で挑戦し、驚き、時に孤独だったが、刺激的でもあった。

アーセナルは職業的な意味でも文化的にも私生活でも全てにおいて大きな飛躍だった。

「大きな決断をしなければならなかった。今戻らなければ多分永遠に日本にいただろう。欧州でのことは次第に意識から薄れていた。今戻らなければここで生きていくだろうと思うところまで来ていた。」

ヴェンゲルの妻は妊娠しており日本で一緒に暮らしアジアに根を張るか、欧州に戻るか。振り返れば運命の分かれ道だった。もし違う選択をしていたら、彼とアーセナルのその後の20年はどうなっていただろう。

 

ヴェンゲルが仏語訛りの英語と洗練されたアイデアをもって英国にやってきた時、周囲には外国人監督に何ができるのかという強い疑念が渦巻いていた。主将のアダムズ含め皆が不安だった。

「変化に対する恐れがあった。」

選手も監督たちもサポーターもメディアも皆が疑っていた。ヴェンゲルもそれは気づいていた。

「周囲の強い疑念を感じたよ。だがそれが普通だ。特に島国ではね。島国では歴史的に人々の生活には距離がある。外国からの影響には注意深くなる」

 

ヴェンゲルの前に現れたもう一人の無名に近いフランス人、ヴィエラが全ての始まりだった。彼の初戦、怪我のため外で観戦していたベルカンプはハイバリーにエネルギーが満ちるのを感じた。

「出てきてすぐに試合を変えたんだ。みんな『何が起こった?これは正夢?』って思ったよ。

ヴィエラの存在は強い印象を与えた。新鮮で違うものを見せてくれた。ヴェンゲルは言う。「彼が私に初の信用を与えてくれた。そして皆にショックを与えた。(アラジンの)ランプから出てきたジニーみたいにね」

アーセナルは大きく変わろうとしていたが、ヴェンゲルは周囲をよく見て理解・分析するまでは拙速な判断や大きな変革をもたらしたくはないと考えていた。

就任してからの2年間でヴェンゲルは様々な新しいアイデアを導入した。食事やストレッチなど科学的な裏付けがあるもの、プレースタイルに関するもの。新選手の加入もそれを助けた。オーフェルマース、アネルカ、プティ。すべての要素が勝利に向けてブレンドされた。

ベルカンプにとってヴェンゲルの就任は、彼自身の過去のサッカーとオランダのトータルフットボールという教育と、イングランドの諦めないサッカーとの橋渡しだった。共生。ベルカンプはタフさを身につけてPLで輝き、アダムズは前へ飛び出してボレーシュートを決めた。

アーセナルはヴェンゲル就任2年目で、リーグとFAの2冠を達成する。全てのプレッシャーを超えた稀有な輝きだった。「チームが団結して楽しんで個人の我が儘や結果に不安を感じずにプレーする時はある。一瞬しか続かないこともある。だが、それを味わいたくて人は永遠に戦い続ける。」

ヴェンゲルの始めの10年間は安定した成功だった。無論惜しくも優勝を逃した時もある。ファーガソンのユナイテッドとのライバル競争は激しく緊張感がみなぎっていた。96-06年はPL優勝3回、FA杯4回、CL決勝にもクラブ史上初めて進んだ。そして03-04年の無敗優勝。

その実績も重要だが美しいスタイルも重要だった。キャリア絶頂のアンリを筆頭にベルカンプ、ピレス、ユングベリ、ヴィエラ、カヌ、などなどが多くのファンを魅了した。

「無敗優勝は夢だった。無理だと思ったものでも叶うことがあると知った」とヴェンゲルは語る。

長く言われていた”Boring Arsenal”の対極のアイデンティティを作ったこともヴェンゲルの密かな誇りだ。「外国のコーチにそこの選手について聞いた時に『こいつはアーセナル向きではないです』と言われるのは最大の褒め言葉だ。」

もちろんこの20年間で全ての獲得選手が「これぞアーセナル」というカテゴリに入るわけではない。ソル・キャンベルもいればステパノフもいる。ファン・ペルシーがいればフランシス・ジェファーズもいる。だがとにかく初めの10年は成功だった。とんでもなく高い基準になった。

 

ヴェンゲルの20年の転換点はスタジアムの移転だった。ヴェンゲルはハイバリーを愛していた。感傷に呑み込まれないヴェンゲルでも、今も時々、エミレーツへの行き帰りにAvenell Roadまで寄り道してEast Standの正面に停まって思い出に浸る時があるという。

だがクラブが前進するためには移転は避けがたいとヴェンゲルは思っていた。真っ先に練習場を改革した時(彼は毎日コルニーへ行って進捗をチェックした。特に280,500本の木が植えられたのが気に入っているという)、ハイバリーの収容力の限界はかなり検討が必要と思われた。

クラブが£400mかけてスタジアム移転を決めた時、しばらくの間妥協したチーム作りとなることをヴェンゲルは理解し受け入れた。彼が知らなかったのは、サッカー風景を一変させるような金持ちによってアーセナルの計画が潰されるかもしれなかったことだ。

「マシンガンに石で対抗するようなものだった。だがファンはそんなことは知りたくない。ただタイトルを望んでいる。」

この時期はクラブが予測していた以上に厳しいものとなった。

この時期のヴェンゲルの戦略は若手に信を置くことだった。これは勇気がいる。ベストな若手を探してきて、クラブの精神を叩き込み、共に成長し互いに忠義を感じるチームを作る。これが機能しかけた。ファブレガスはセンセーショナルで、仲間にはファン・ペルシー、ナスリ、ディアビらがいた。戦うに十分なタレントが揃っているとヴェンゲルは確信していた。

だが若手プロジェクトはもろくも崩れる。おそらくそれは、ヴェンゲルにとって最も辛い時だっただろう。ファブレガスとナスリが去り、それにRVPが続く。そのダメージは計り知れないものだった。彼はとてもパーソナルな喪失感を経験する。彼が信じてきた思想が目の前で崩れたのだ。

これら大型選手の連続移籍が起こる前、その流れを断ち切ろうとしていたヴェンゲルは、もしも彼らが移籍したならその影響は大きいと認めた。「もうビッグクラブだというふりはできなくなる。」

選手のヒューマンな面に重きをおくヴェンゲルには特に辛いことだった。だが、いいかどうかは別として、その移籍を阻止しようとする監督がいる中、ヴェンゲルは選手が去りたい時が、辛くても手放す時だといつも考えようとしていた。

これまで何度かヴェンゲルは他クラブに行く可能性があった。だがそれをせず、高い給料だけでなく強い批判を受け止め続けた。何故か?CVを飾る名誉以上に信じているものがあったからだ。スタジアム移転というプロジェクトを見届けて終わらせたかった。

05年のFA杯優勝後、ヴェンゲルは大きなプレッシャーと批判を耐えてきた。ユナイテッド戦の8-2の大敗。数々の災難と、モウリーニョに「失敗のスペシャリスト」と言われるような酷い敗戦。

以前、ヴェンゲルはビッグクラブに向けられる期待を背負う重圧を認め、こう言ったことがある。

「サッカーを重視しすぎるのは時にクレージーだ。勝てなかったらあまりにも多くの人の不幸の責任を負うことになる。人生にダメージを与えそうで時に考えないほうがいいくらいだ。」

「アウェーで負ければ多くのアウェーファンの気持ちを感じる。ホーム敗戦ならば街に妙な雰囲気が漂う。責任を感じる。だがそのままでは死ぬまでだ。常に職業的な要素が頭をもたげる。なぜ負けたのか?何が間違っていたのか?」

14年FA杯決勝はローラーコースターだった。2-0から逆転しての3-2での勝利。「久しぶりのタイトルは苦しみと共にやってくるものだ。ホッとした気持ちと幸せな気持ちだった。」翌年のFA杯決勝は彼らの圧勝だった。

 

多くの人は長くこの職にい続けられる彼の性格を知らない。知性、周囲の人間への信頼(時に信頼しすぎていると言われる)、献身性、ユーモア。彼はとても面白い人物で自分を落として笑うことも厭わない。「人を理解することに特技を持つ賢い人だ。」パーラーは言う。

パーラー「歩く災難でもあるけどね。毎日何かアクシデントを起こすんだ。」ネットに引っかかったり、皿のプディングを知らずに落としたり、選手と一緒にリラクゼーションテクニックで横になっている時に壁じゃなくてパーティションに足をたてかけて向こう側に転がったこともある。

 

結婚20年では喜びとフラストレーションの時があり、信念と疑いに揺れる時があって当然だ。

今の「ヴェンゲルメーター」は一時期ほどひどい状態ではない。

彼のアーセナルの話は2幕ある。第一幕は成功に溢れている。第二幕は複雑すぎて、第一幕の凄さを忘れるほどかもしれない。最終幕はまだ書かれていない。契約は今季で切れるが、続けるか、辞めるか、ステップアップするか全く違うことを始めるかを決められるのは彼だけだ。

アーセナルは彼の人生のクラブだ。「伝統を大事にし前進を恐れないところがアーセナルの好きな点であり誇りに思うところだ。」

何が起ころうと、この人物とクラブの縁がいつ切れようと、ヴェンゲルのような監督は彼が最後だ。

イングランドの監督在任期間の平均は13ヶ月。エリートレベルで20年もの在任監督はもう2度と現れることはないであろう。

 

ヴェンゲル20周年:喜びとフラストレーションに満ちた旅
(A.Lawrence “Arsène Wenger: 20 years at Arsenal – an incredible journey of joy and frustration”)

抜粋意訳: mygunner
https://twitter.com/mygunner98

 

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コメント

  1. ロシスキー より:

    アーセン・ヴェンゲルが如何に稀有な存在か、あらためて実感。
    「もうビッグクラブだというふりはできなくなる。」というくだり、胸が詰まります。
    日本の田舎在住、日本語以外からっきしの自分に、いつもステキな記事を読ませてくださるmygunnerさん、さるさんに感謝です!

  2. よわむし より:

    これ良い記事だわ
    長く見えるけど読むとあっという間だから皆読んで欲しいな
    記事を読んだ後にこれまでいた選手とかそれぞれのシーズンの想い出とか語りたくなる

  3. kinks より:

    積み重ねる家族の様な関係。
    大きく急速に変わる事が効果的で
    求められたとしても、そこに何が残るのか。
    アーセナルは家族であり、ベンゲルはみんなの親父です。アーセナルが好きで自分も少し幸せです。

  4. アレク より:

    訳して下さったmygunnerさん、掲載して下さったさるさん、ありがとうございます。素晴らしい記事ですね。これを読んで、アーセナルを応援してきたことが誇らしく感じられました。日本人の、和を重んじ、相手を敬い、相手を思いやる精神をベンゲルが体験し、そこに感銘を受けたからこそ今のアーセナルにそのイズムが流れていて、だから日本人のアーセナルファンが多いんだなと感じました。チェルスキーや油を応援してるやつらには分かるはずのないことです笑

  5. ティティ より:

    いい記事で胸が熱くなります。
    アーセナルファンで良かったと思えました。

  6. mmk より:

    私はtwitterをやっていないのでこのような情報は本当にありがたいです。
    mygunnerさん、猿さんありがとう。

  7. Y より:

    本当に素晴らしい記事です。mygunnerさん、猿さん、本当にありがとうございます。

    改めてボスは稀有で素晴らしい監督だと思いましたし、アーセナルを好きで本当に良かったと思いました。

  8. fantastica より:

    あざっす。
    なんか読んでいる時、時間が止まったなぁ。

  9. Machi より:

    素晴らしい。まじ泣けます。。

  10. あーろん16 より:

    mygunnerさん、猿さん、ありがとうございます。何度読んでも胸がいっぱいになり自然に涙がでてきます。

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